2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化鉄による不均一リビングカチオン重合:環境への負荷の小さな革新的触媒系の創製
Project/Area Number |
19350060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青島 貞人 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (50183728)
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Keywords | リビングカチオン重合 / 不均一リビング重合 / 酸化鉄 / 添加塩基 / 金属酸化物 / ビニルエーテル / ヘテロポリ酸 / 硫酸鉄 |
Research Abstract |
従来、イオン重合では不均一系でのリビング重合が困難とされてきた。本年度は、当研究室で見出した酸化鉄によるリビング重合の挙動や機構を明らかにすると共に、新しい数種類の開始剤系での不均一リビング重合の可能性について検討を行い、大きな成果を得ることができた。具体的に行った検討は、(i)酸化鉄特有の重合挙動及び重合機購の検討、(ii)酸化鉄以外の金属酸化物を用いた不均一リビング重合の検討、(iii)従来無いタイプの不均一プロトン開始剤系としてヘテロポリ酸を用いたリビング重合、(iv)硫酸鉄を用いた不均一リビングカチオン重合及び立体規則性重合の可能性、そして本重合系にも将来必要になってくる、(v)リビング重合に有効な添加塩基の検討やMWDやシークエンスの制御されたポリマーの合成。(i)まず、リビング重合の最適条件及び反応機構を明らかにするために、様々な酸化鉄触媒(α-、nano-Fe_2O_3など)や重合条件での検討を行った。(ii)(i)の反応機構を検討する意味もあり、他の金属酸化物触媒の検討を行った。その結果、全く重合が制御されない触媒系(Nb_2O_5、MoO_3)も見られたが、重合条件を選択することにより、Ga_2O_3,In_2O_3,Co_3O_4,ZnOなどの系からリビングポリマーが得られることがわかった。(iii)従来の金属酸化物とは全く異なる開始剤系として、不均一プロトン酸のヘテロポリ酸を検討した。ハロゲン化金属や金属酸化物では見られない重合挙動が見られ、最適条件では極めてMWDの狭いリビングポリマーが得られた。世界で初めての例である。また、(iv)硫酸鉄による、新しい立体規則性ないしリビング性を有する重合系の開発、及び今後の本重合系に展開に重要な、(iv)少量で有効な添加塩基の検討や構造の制御されたポリマー合成の検討も進めた。
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