2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲストに誘起される半導体ナノクラスターの自己集積を利用する発光センシング
Project/Area Number |
19350063
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (80234798)
|
Keywords | 半導体 / クラスター / 発光 / 化学センサー |
Research Abstract |
本研究は、無機骨格由来の独特な光化学特性を示す「半導体性CdSクラスター」の表面に有機機能団を導入し、表面部とゲスト化合物との相互作用を通じて「色(吸収)」や「発光」の変化で応答するセンシングシステムを創製することを目的としている。本年度は特に、これまでに見いだされている重要な知見である「銅イオンとの錯形成にともなう発光増強」のメカニズムを明らかにする目的で、さまざまな表面置換基を導入した一連のクラスターを合成し、銅イオン添加量と発光強度の相関を詳細に調べたところ、いずれの場合にも、低金属イオン濃度領域では発光の増強が引き起こされるのにたいして、高金属イオン濃度領域では発光が著しく減退することを見いだした。この傾向は表面置換基の構造に強く依存した。さらに検討を進めたところ、低金属イオン濃度領域では銅イオンがクラスターに単純に配位吸着するのに対し、高金属イオン濃度領域ではクラスターを構成するカドミウムと銅イオンの交換が起こり、表面で硫化銅が析出することで、発光が著しく減退することが示唆された。さらに銅以外の金属イオンについても検討を進めたところ、水銀イオンが低金属イオン濃度でも著しい発光の減退(消光)を引き起こすことを見いだした。しかしながら、相互作用の形式は銅イオンの場合と類似しており、低金属イオン濃度では単純に水銀イオンが吸着するのに対し、高金属イオン濃度領域では金属イオン間の交換がおきていることがわかった。
|