2007 Fiscal Year Annual Research Report
固体-液体界面の流動ダイナミックスに基づく表面機能材料の開拓
Project/Area Number |
19350066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 章 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00302795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀島 欣一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (50251616)
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Keywords | 撥水 / 転落 / 加速度 / シラン / 傾斜 / 表面粗さ |
Research Abstract |
我々が開発した粒子画像流速測定(PIV)法(広義:流体の中にトレーサーを混入することで流れを可視化し、デジタル画像処理技術により、流れ場の多点の速度情報を抽出するもの)による内部流動評価装置を用い、様々な撥水性シランコーティング表面に上での水滴の転落加速度を評価した。また得られた加速度を回転成分と滑り成分を分離して評価を行った。その結果、表面粗さは僅か数nmでも、水滴の転落挙動は劇的に変化し、この傾向はフルオロカーボン系シランとハイドロカーボン系シランで差がなかった。また水滴の転落加速度と転落角の違いは、転落過程での滑り成分に寄与によるものであることが判った。この性質を応用し、2次元上でのパターン膜や、上下に水滴を挟み込むことで、水滴の転落加速度を制御可能であることが明らかになった。 またムービングマスクにより表面エネルギー傾斜を作製し、その上での液滴の転落挙動を解析した。その結果、傾斜表面では前進接触角が傾斜依存するものの、後退接触角は一定になる、特異な挙動を示すことが判った。 更に液滴の特徴と転落挙動についても評価、検討を行った。水とグリセリンの混合液を用いて、撥水表面での転落挙動を評価したところ、グリセリンの濃度が増加し、粘性が増大するに従い、滑り成分の寄与が小さくなり、回転成分が主体となった。更にグリセリン濃度を上げると、液滴は等加速度運動をせず、等速で転落した。液体の粘性で転落の主要モードが変化することが明らかになり、高速液滴滑落表面の実現には、対象とする液体の性質を踏まえた設計が重要であることが判った。また、傾斜角の影響についても検討し、転落角に近づくにつれて滑り成分が小さくなることが明らかになった。
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