2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤塚 守 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (40282040)
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Keywords | マルチレーザー / 高励起状態 / エネルギー移動 / 電荷分離 / ポリフィリン / フタロシアニン / 軸配位子 / ケチルラジカル |
Research Abstract |
本研究計画では、照射間隔および照射波長を制御したパルスレーザーを光機能分子に多段階照射することで、高励起状態を経た反応プロセスを直接観測により明らかにし、さらに新たなる分子素子を創生することを目的としている。本年度においては以下の点に着目し研究を行った。(i)ラジカルならびにラジカルイオンの励起状態物性の検討。(ii)ドナー・アクセプター結合分子の高励起状態を経た電荷分離過程の実証。(iii)マルチレーザーによるエネルギー移動過程の促進ならびに低速化の制御。以下にこれらにより得られた結果を記載する。 (i)ベンゾフェノン等を励起すると水素引抜き反応によりケチルラジカルを生じる。ケチルラジカルをさらに第二レーザーにより励起するとラジカル励起状態を生成し、非常に高い還元能力を示すことを実証した。この高い還元能力を用い、金属ナノ粒子の生成、サイクリック反応など種々の反応を見出した。 (ii)ポルフィリンおよびフタロシアニン類にドナー性およびアクセプター性軸配位子を結合し、高励起状態からの電荷分離過程を検討した。高励起状態から生じる電荷分離の再配向エネルギーは最低励起状態からの電荷分離のものとは異なることを見出した。 (iii)オリゴチオフェン類の高励起三重項状態からのエネルギー移動過程を検討することで、高励起三重項状態のエネルギーレベルを実測した。その結果、高励起三重項状態は最低励起一重項状態より高エネルギー状態であることを示した。さらにエネルギーアクセプターを結合したトライアッド系でマルチレーザーにより励起状態の分布制御が可能であることを実証した。
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Research Products
(17 results)