2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算と統計理論による分子性磁性体の巨視的磁性発現機構の理論的解明
Project/Area Number |
19350070
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 光隆 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (40356712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴資 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30321748)
北河 康隆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (60362612)
長尾 秀実 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30291892)
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Keywords | 有機磁性体 / 磁気的相互作用 / 有機金属錯体 / 有効交換相互作用 / 磁気異方性 / 伝導性 / スピンシミュレーション / 第一原理計算 |
Research Abstract |
分子レベルの構造が主要因となり、電子スピン(磁性)と導電性などの物性が共同現象的に発現する物質系はエレクトロニクスなどの応用面からも、物性発現機構の解明という基礎研究分野からも非常に注目される研究対象である。特に、ナノ磁性体、複核遷移金属錯体、分子性磁性超伝導体等の物質は、構造とスピン状態、そして反応性、導電性といった物性が密接に関連している為、興味深い系である.そこで、これらの系に対して理論研究によりスピンと他の物性が協奏する系を電子状態のレベルから解明して、巨視的な物性量を予測することを目的とする。そこでそれぞれの物性を正確に求める必要が生じてくる。例えば磁気的相互作用をハイゼンベルグハミルトニアンで表現すると有効交換積分値の符号と絶対値によって強磁性・反強磁性の種別と大きさがわかる。この値を理論計算によって先験的に計算を行うためには正確な分子系の構造が必要となる。しかしながら、X線構造解析の解像度が低い場合には正確な構造が得られない。この問題を解決するために我々は、対称性の破れた方法からスピン混合による誤差を除去し、正確な構造を実在系に近いサイズのモデル系に対して適応できる手法を開発し、それらを様々な系に適応し、実験値と比較をすることによりその妥当性を明らかにした。これにより磁気的相互作用を表す有効交換積分値を実験結果から得られる結果と定量的に議論することが可能となった。さらに、人工DNA分子などの伝導性と磁性についそも検討を実施し、実測の問題点についても明らかにした。
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Research Products
(15 results)