2007 Fiscal Year Annual Research Report
バイオベース高分子の高強度繊維及びナノファイバーの作製と生体内及び環境分解性評価
Project/Area Number |
19350075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 忠久 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30281661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 哲二 国立循環器病センター, 生体工学部, 部長 (50243126)
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Keywords | バイオベース高分子 / 生分解性高分子 / 高強度繊維 / ナノファイバー / 分子鎖構造 / 酸素分解 / 生本内分解 / 環境分解 |
Research Abstract |
糖や植物油から微生物によって生合成されるバイオベース高分子の一つであるポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート](P(3HB))の高強度繊維を、冷延伸・二段階延伸法により作製した。X線回折より、高強度繊維中には2種類の分子鎖構造(らせん構造と平面ジグザグ構造)が存在することがわかり、これまで明らかにされていない平面ジグザグ構造を有する分子鎖からなる結晶(β構造)の構造解析を世界に先駆けて行った。β構造は、結晶系は斜方晶系、格子定数はa=0.528nm、b=0.920nm、c(繊維軸)=0.469nm、単位胞中に2本の分子鎖を有し、計算値密度は1.254g/cm^3であることがわかった。また、冷延伸法により作製した2種類の分子鎖構造を有する高強度フィルムを用いて酵素分解実験を行い、分子鎖構造が酵素分解に及ぼす影響について検討を行った。その結果、平面ジグザグ構造の方がらせん構造より分解速度が速いことがわかった。 P(3HB)と3種類のP(3HB)共重合体から、エレクトロスピニング(電解紡糸法)によりナノファイバーを作製した。ポリマー濃度を変えることにより、ナノファイバーの径を200〜600nmでコントロールすることができた。さらに、一本のナノファイバーの電子回折から、ナノファイバー中で分子鎖が配向していることを明らかにした。 また、バイオベース高分子として最も研究が盛んに行われているポリ乳酸についてもナノファイバーの作製を行った。特に、通常のポリ乳酸より融点が50度近く高い、ポリ乳酸ステレオコンプレックスのナノファイバー作製に成功した。現在、ナノファイバーを用いた生体内分解性評価を行っている。
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