2009 Fiscal Year Annual Research Report
バイオベース高分子の高強度繊維及びナノファイバーの作製と生体内及び環境分解性評価
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19350075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 忠久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30281661)
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Keywords | バイオベース高分子 / 生分解性高分子 / 高強度繊維 / ナノファイバー / 分子鎖構造 / 酵素分解 / 生体内分解 / 環境分解 |
Research Abstract |
糖や植物油から微生物により発酵生産される微生物産生ポリエステルから新たに開発した微結晶核延伸法により、繊維中にマイクロポアを有する高強度繊維を作製した。マイクロポア繊維の破壊強度などの機械的物性測定を行うとともに、大型放射光(SPring-8)施設のX線トモグラフィーの手法を用いて、マイクロポア形成機構の解明を行った。その結果、マイクロポアは延伸過程で生じること、マイクロポアの占有率を考慮すると理論的な計算強度は実測値の2倍以上となることを見出した。 次に、このマイクロポア繊維に薬物の含浸を試みた。抗生物質のひとつであるバンコマイシンをDMSO中に溶解させ、様々な条件下で繊維内部への浸透を試みた。その結果、温度を少しかけることでゆっくりではあるが薬物が浸透することがわかった。 この薬物含浸繊維を、微生物産生ポリエステル分解酵素で繊維を分解させることにより、薬物の除放性について検討を行った。薬物除放性については、分光光度計を用いてバンコマイシンの吸光度の時間的変化を観察することにより評価した。その結果、酵素により繊維が分解されるにつれ、薬物がゆっくり除放されることがわかり、目的とした効果を発現できることがわかった。 さらに、環境分解性試験として、高強度繊維の海水分解性評価を行ったところ、約1ヶ月で完全分解されることがわかった。
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Research Products
(12 results)