2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機合成化学を基盤とする光受容色素蛋白質フィトクロムの構造と機能の解明
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19350082
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
猪股 勝彦 金沢大学, 物質化学系, 教授 (50110599)
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Keywords | フィトクロム / 光受容色素蛋白質 / 発色団 / 開環状テトラピロール / 全合成 / 構造と機能相関 / 光分子スイッチ |
Research Abstract |
植物の光形態形成を制御している光受容色素蛋白質フィトクロムの構造と機能を解明するために,これまで開環状テトラピロール骨格を有するビリン系発色団の一般合成法を開発し,多くの新知見を得た。例えば,CD環部分の立体化学を固定したビリベルジン(BV)型発色団を合成し,バクテリオフィトクロムAgp1及びAgp2のアポ蛋白質と再構成させて得られる人工フィトクロムの分光学的並びに生物化学的な解析を行い,生理学的に不活性で赤色光吸収型のフィトクロム(Pr)における発色団15位の立体化学はZ-antiであり,生理学的に活性で遠赤色光吸収型のPfrではE-antiであることを世界で初めて直接的に解明した。さらにAB環部分の立体化学を固定した発色団やAB環及びCD環の立体化学を共に固定した発色団を新たに合成し,Prは5Z-synであり,Pfr型はAgp1では5Z-anti,Agp2では5E-antiであることを明らかにするなど,有機合成化学を基盤とするフィトクロム研究が極めて有効で,必須の研究手法であることを示すことができた。一方,植物フィトクロム発色団の立体化学を解明するために,新たにCD環の立体化学を固定したフィコシアノビリン(PCB)誘導体を合成し,in vitro及びin vivoにおける再構成実験を行い,15Ea-PCBが生体内においても活性を示すことを証明した。さらにピロール環の酸化的修飾法やAB環の立体化学を固定したPCB誘導体ならびに光学活性PCB誘導体の合成,アポフィトクロムの簡便な単離・精製を目指したアフィニティークロマトグラフィー実現に向けたビリン系発色団の樹脂への新たな固定法について検討し,いずれも好結果を得た。
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Research Products
(36 results)