2008 Fiscal Year Annual Research Report
光合成初期過程をモデルとした超分子ナノデバイスの創製
Project/Area Number |
19350088
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
民秋 均 Ritsumeikan University, 薬学部, 教授 (00192641)
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Keywords | 自己組織化 / 超分子化学 / ナノ材料 / 生体分子 / 有機化学 |
Research Abstract |
緑色嫌気性光合成細菌の膜外にある光収穫アンテナ部は、クロロフィル色素のみが自己集合してアンテナ色素部を構成していることが、研究代表者の研究によって明らかになり、どのようなクロロフィル色素分子をどのような環境下に置いたときに自己集積をするのかという基礎データも得られつつある。また、自己集積してJ会合体を形成するときに、構成分子の遷移モーメントを自己会合型超分子内でも揃えれば、光学的性質が会合度によって大きく変化することも明らかにしつつある。 そこで、クロロフィル自己集積体にもとづく光合成初期過程をモデルとした超分子ナノデバイスの創製を、(半・全)合成環状テトラピロール分子のJ会合体を利用して行うことを研究の目的とした。 (1)会合性ポルフィリン類の合成:天然のクロロゾーム型クロロフィルのモデル化合物を各種合成した。特に、17位上の置換基を多様に変化させることに成功した。 (2)J会合体の構築:上で述べたような合成ポルフィリン分子を、多様な環境で自己会合させることに成功した。液晶中で自己会合体を形成できたことは特筆できる。 (3)超分子構造を規制した会合体の構築:基板上にロッド状や球状で合成ポルフィリンの自己会合体を形成することに成功し、その超分子構造を原子間力顕微鏡で確認した。 (4)階層を制御した超・超分子系の構築:基板上で合成ポルフィリンの自己会合体と電子受容体の集積体とが別々に配列した系を構築するのに成功した。 (5)超分子系での機能創出:(4)で述べた系を電極上に展開することで、合成ポルフィリンの自己会合体の光励起に伴う近傍の電子受容体への電子移動が生じて、光電流を観測できた。
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