2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岸川 圭希 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (40241939)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 誘電体物性 / 解析・評価 / 化学物理 / 液晶 / 強誘電性 |
Research Abstract |
強誘電性柱状液晶の実現を目指し、分極構造の安定化を2つの方法で計画し実行した。一つの方法としては、N,N'-ビス(3,4,5-トリアルコキシフェニル)尿素分子のベンゼン環の数を増加させることによって、カラム内のコアーコアの分子間相互作用を増やし、分極状態を安定化させる方法である。もう一つは、水素結合の総数を増やし、分極カラム構造間の反転閾値を増加させる方法である。 第一の方法では、ベンゼン環同士をオキシメチレン(-CH2O-)でつないで、尿素の2つの窒素のそれぞれに、2つずつ、と3つずつのベンゼン環を導入した。これらの化合物は、安定な六方柱状相のみを与えた。これは、両窒素に一つずつベンゼン環を有するこれまでの尿素化合物が、斜方相と六方相の両方を示したことと大きく異なっていた。他の化合物として、エステル結合(-COO-)でつないで、両窒素に2つずつのベンゼン環を持つ尿素化合物も同様に安定な六方柱状相のみを与えた。また、窒素上のコァが屈曲している尿素分子や、立体的に嵩張るコアは、液晶相を与えなかった。六方柱状相を示した液晶化合物は、三角波電圧を印加したところ、分極反転電流が観測され、分極反転が起こっていることが確認された。さらに、これまでの尿素化合物よりも応答速度が速いことが確認された。柱状構造を粉末X線回折で調査すると柱内に2重らせんが存在していると予想された。現在、二次元X線回折により、より詳細な調査を行っている。 第二の方法では、窒素原子を中心にして、3つのコアをつけ、それぞれのコアに水素結合できるアミド基を導入した。いくつかの化合物を合成したところ、液晶相を示すものもあるが、三角波電圧を印加したところ、分極反転電流が観測されなかった。これは、3つのアミド基が分極状態を強く固定してしまうとともに、カラム間においても、分極を打ち消し合い安定化し、外部電場に応答できなくなったものと考えられる。
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