2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岸川 圭希 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (40241939)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 誘電体物性 / 解析・評価 / 化学物理 / 液晶 / 強誘電性 |
Research Abstract |
本年度は、強誘電性柱状液晶の実現を目指し、尿素分子((RO)3C6H2- X-C6H4-NH) 2C=Oにおいて、構造の最適化を行った。具体的には、X=-CH2O-、-COO-、-NHCH2-、-NHCO-、-N(CH3)CH2-、-SCH2-、-CH2CH2-、CH=CH-のリンカーをそれぞれ導入し、その液晶性を偏光顕微鏡観察により調査した。X=-CH2O-、-COO-においては、強誘電的なスイッチング挙動が観察された。-CH2O-よりも、-COO-の方が、カルボニルの分子間双極子-双極子相互作用により、液晶温度が上昇した。酸素以外のヘテロ原子の影響を調査するため、-NHCH2-や-NHCO-をリンカーに導入してみたところ、柱状液晶相の発現は観測されたが、分極反転は観測できなかった。分子内にNHを有する場合には分子間水素結合が強く作用し、分子が電界に対して動かなくなったものと考えられた。そこで、-NHCH2-を-N(CH3)CH2-として分極反転を調査したが、この柱状液晶相についても分極反転は同様に観測できなかった。この場合は、メチル基の立体障壁が分子の回転運動を阻害している可能性がある。次に、酸素と同族の元素ということで、リンカーとして、-SCH2-を導入した。この柱状液晶相のカラム径は、他の分子より大きく、分子がカラム軸に対して傾斜していることが考えられる。この柱状相では、等方相から柱状相に転移した直後では、分極反転ピークが観測されたが、電圧印加後1分程度で、分極反転ピークが消失した。電圧印加しても、テクスチャーが見えるため、電圧印加により、六方相から斜方相に転移している可能性が考えられる。ヘテロ原子の入っていない化合物(X=-CH2CH2-、-CH=CH-)についても合成したが、予想に反してこの場合には液晶相が発現しなかった。本年度の研究においては、液晶の発現に対して、リンカー部のヘテロ原子が重要な役割をしていること、および、水素結合する基や立体障壁が大きな基を導入すると、柱状相の分極反転が抑えられること、などの非常に重要な知見が得られた。
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Research Products
(19 results)