Research Abstract |
本年度は,π共役分子に内在する機能を探索すると共に,コンフォメーション/分子配向制御技術の研究・開発を推進することを目的として,2名の研究分担者と共に以下の4つの観点から研究を実施した。 1)高移動度分子材料の創製 化学修飾によって分子配列が制御可能な導電性高分子を用い,独自に開発した移動度評価法によって伝導度や移動度の異方性を測定することによって,高分子鎖内・鎖間電荷移動過程の寄与を再評価した。 2)導電性分子材料の構造制御/組織化 光散乱を抑えて透明性を確保するために,粒径50nm以下の球状導電性微粒子の調整を目指して反応条件(温度,反応時間,濃度等)の検討と,凝集を防ぐ方策を検討した。グラファイト層間へのLi原子のintercalationと,水との反応で発生する水素による層の剥離(exfoliation)を利用した単層グラファイト調製法について検討した。 3)コンフォメーション/分子配向制御 電位に伴ないポリアニリン薄膜表面でのレーザー光の反射強度の変化は2桁に達する。独自に見出したこの in-situ反射測定法を利用し,高分子鎖のコンフォメーション変化の速さを測定する技術の開発を実施した。また,速度を支配する因子を明らかにすることによって,アクチュエータの高速化に資する。アルカンジチオールや両末端にチオール基を有するオリゴチオフェンを用い,流動と自己組織化を組合わせることによって分子の面内配向制御の可能性を検討した。 4)電荷輸送/発光・吸収特性の最適化 薄膜内でのラジカル種の存在を直接に確認するための測定技術(変調分光法)の開発を試みた。また,有機EL素子や色素増感太陽電池への応用を目途に,多様な分子設計の可能性を有するベンゾフラノカルバゾール系蛍光色素の分子設計を行い,強い発光を示す蛍光性色素を合成した。
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