2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19350095
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 昭弥 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (30183031)
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Keywords | パイ共役系分子 / ヘテロ元素 / 複合同時導入法 / 有機発光素子 / ラジカル反応 / 遷移金属触媒反応 / ヘテロ原子複合材料 / ヘテロ環化合物 |
Research Abstract |
機化合物を用いた導電性分子や有機超伝導体の発見以来、π(パイ)共役系を有する分子は大きな注目を浴びている。近年のナノテクノロジーの発展と歩みを合わせるように、これら材料化学分野における合成設計と精密合成は、単分子自体の機能化という点で重要度が増してきている。イオウ、セレン、テルル、窒素などから構成されるヘテロ環化合物が、材料化学分野で創造性をかきたてる研究対象となっていることから、本研究では、従来にない合成手法をもって、これらの元素を複合化させた広範なπ共役系を有する新規ヘテロ原子複合発光材料を開発することを目的としている。これまでの研究の結果、アセチレン骨格へのヘテロ元素導入については、イオウ、セレン、テルル、窒素、リンの選択的な導入が可能となっただけでなく、従来の低分子に加え、フェロセン、ポルフィリンなど機能性分子への導入が可能であること、さらにベンゼン骨格を有するアセチレンへのイオウ導入に続く、イオウのカチオン化によって、発光効率が飛躍的に上昇することが観測された。 本年度は申請計画に沿って、これらの複合系を展開し、含窒素化合物の複合同時導入反応を達成した。また、リン-ヨウ素複合系を利用した選択的ビニルヨージドの合成も可能となった。物性調査として、本反応系を適用することによって得られるフェロセン-イオウ複合体、フェロセン-セレン複合体について、酸化還元電位を測定した結果、共役系と連接したヘテロ原子が物性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。 これらの知見をもとに、ベンゼン骨格を有するヘテロ元素含有共役系高分子を合成し、金属配位による消光作用から蛍光特性を明らかにした。これらの結果は、実用的発光材料への展開として重要な成果と考えられ、引き続き実用展開を検討している。
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