2008 Fiscal Year Annual Research Report
電界印加によって誘起される等温的コレステリック-スメクチック相転移の研究
Project/Area Number |
19350096
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 健夫 Tokyo University of Science, 理学部, 准教授 (80261501)
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Keywords | 強誘電性液晶 / コレステリック相 / 電界誘起相転移 / 自発分極 / 3状態間スイッチング |
Research Abstract |
3環系メソゲンを有し、さらにメソゲン側部に塩素置換基を有するキラル液晶を合成した。この液晶に等温下で電界を印加すると,フォーカルコニック状態への転移を生じた。転移後の相では,扇状の組織が見られた。また,電界印加で相転移した後に,その印加電界を交流矩形波にすると,液晶は応答の速い明暗のスイッチングを示した(このとき,液晶分子の向きが電界の向きに応じて14°程度可逆的に変化していた)。このスイッチングの応答時間は600μs程度と高速であった。転移した相に100Hzの交流三角波電界を印加し,自発分極を測定すると,5nC/cm^2程度の自発分極を示した。これらのことから,転移した相は強誘電相であると考えられる。そして自発分極の温度依存性と液晶の傾き角の温度依存性は一致していた。印加電界を切ると液晶は速やかにもとのコレステリック相に戻った。以上のように,この液晶は電界の印加によって通常のコレステリック相から強誘電性を示す相に可逆的に転移する。そして電界によって転移した相は電界の極性によって自発分極のスイソチングを生じるため,この液晶はコレステリック相⇔上向き電界状態⇔下向き電界状態という3状態間のスイッチングが可能である。この液晶を,配向処理を施した液晶セル中に注入して電界を印加すると、フォーカルコニックテクスチャーはラビング方向に沿って成長した。これは、フォーカルコニック状態でのコレステリック液晶の状態がラビング方向によって影響を受けているためであると考えられる。
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Research Products
(4 results)