Research Abstract |
構造や気体吸着性,及び,構造安定性がわかっているナノ細孔性MOF,[Cu(bpy)_2(BF_4)_2](bpy=4,4'-ビピリジン)は,ゲート吸着現象を示すが,これをもとに,金属としてCu^<2+>の錯体系を検討する.配位子として,トランス-4,4'-アゾビスピリジン(azpy)を,対陰イオンとしてトリフルオロメタンスルフォン酸イオン(OTf),p-トルエンスルホン酸イオン(OTs)を用いてそれらを組み合わせた錯体を合成し,構造及び気体吸着性を検討した.また,[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]のゲート吸着のゲート圧力の制御を温度変化と溶媒処理により検討した.さらに,水蒸気吸着がゲート吸着現象に及ぼす影響について調べた.Cuとazpyを用いた錯体は,{[Cu(H_2O)_4Cu(azpy)_2(OTs)_2(H_2O)_2]、2(OTs)、2H_2O、2EtOH}_ηとして結晶を得ることができ,単結晶構造解析から2次元錯体結晶ではなく1次元錯体結晶であることが明らかになった.また,気体吸着量は多くなかったが,水蒸気と特定の有機蒸気により構造を変化させることが明らかとなった.このように有機蒸気に対して選択的気体分離機能を示すことがわかった.CuとOtfを用いた錯体は,[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]とは異なる2段階吸着性を示し,より低い分圧での気体吸着を有することがわかった.その選択吸着性について,今後検討する必要がある.また,[Cu(bpy)_2(BF4)_2]のCO_2吸着を室温から248Kまで低温にすると吸着ゲート圧が下がることや,エタノールやメタノールで処理することにより,室温でも吸着ゲート圧が下がることを明らかにした.これによりアルコール処理と低温を組み合わせることにより,より低い分圧の二酸化炭素を選択的に吸着分離できる条件の見通しを立てることができた.
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