Research Abstract |
酸化チタン,酸化亜鉛微粒子の表面にメソポーラスシリカの薄膜(厚さ数十ナノメートル程度)を析出させた。析出はメソポーラスシリカ球の合成に用いる方法(ストーバー法)を適用し,テトラエトキシシラン,メタノールを含むアンモニア塩基性水溶液からなる出発溶液にコアとなる粒子を混合して,反応を進める。メソポア形成のための鋳型としては第4級アンモニウム塩を,シリカ源としてはテトラエトキシシランを用い,室温での反応を検討した。膜厚設計のために,反応温度,反応時間を変えて合成を行った。 透過型電子顕微鏡観察により,酸化チタン,酸化亜鉛粒子の表面に均一なシリカ層が析出したことが確認された。これを500度程度で焼成することにより界面活性剤を除去し,シリカ層を多孔質に転換した。窒素吸着等温線と組成から求めた多孔質シリカ層の比表面積は1グラムあたり数百平方メートルと非常に大きな値であった。 また界面活性剤とテトラエトキシシランの混合水溶液(アンモニア塩基性)に基板を入れると基板上にシリカ界面活性剤複合膜が形成することを見いだし報告した。メソポーラスシリカ膜(以下MPSF)の析出は,C16TAC(0.221g),イオン交換水(17.7g),メタノール(100ml),28%アンモニア水(7.2g)をPP製ボトルで混合し,15秒間振とうした。その溶液にテトラエトキシシラン(0.368μL)を加え,3秒間振とうし,その溶液に基板を浸した。20時間静置した後,基板を取り出しメタノールで洗浄,乾燥した。この過程を繰り返し行い,積層させた。空気中350℃で加熱し界面活性剤を除去した。1回のプロセスで約50nmの膜が析出し,膜厚は,析出を重ねるごとに約50nmずつ増加した。2回析出以降からの膜では干渉色が見られた。この方法で厚さ再現性よく膜を調製できることがわかった。
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