2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体ナノポーラス構造のサイズ制御と機能化による医用材料への展開
Project/Area Number |
19350107
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上原 宏樹 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70292620)
|
Keywords | ナノ・ポーラス / ブロック共重合体 / 細孔膜 / 医用材料 / 自己組織化 / インテリジェント・メンブレン |
Research Abstract |
前年度までに明らかとなっだ最適条件で作製したフィルム試料に対して、発煙硝酸によるエッチング処理を行い、非晶相のみを選択的に除去した。この際、結晶相のネットワーク構造のみが最も効率的に残存するように、エッチング条件(時間・温度)を最適化した。また、得られたナノ・ポーラス構造について、電子顕微鏡観察による発現構造の確認を行った。その結果、処理時間によって5〜30nmの間で細孔径を制御できることが明らかとなった。また、膜断面の構造観察から、これら細孔が膜厚方向に連通していることを確認した。 さらに、この細孔のサイズ分布を定量的に評価するために、プローブ顕微鏡による形態観察を行った。その結果、エッチングによる細孔形成は2段階で起こることがわかった。すなわち、第1段階として、最表面に析出した非晶成分の除去がまず起こり、これに引き続いて膜内部の非晶チャネルへの酸成分の浸透が加速度的に進行することで最終的な連通細孔が形成されることが明らかとなった。 このようにして調製したナノ・ポーラス膜を体内埋め込み型の糖尿病診断センサー用の隔膜として用いるには、生態適合性を評価する必要がある。そのために、これらの膜上での細胞増殖実験を行った。その結果、全ての膜で細胞増殖が確認され、これらナノ・ポーラス膜が生体適合性を有していることが確認された。特に、細孔の連通構造が最も発達する条件でエッチングした膜では、細胞吸着タンパク質を分解する酵素を添加しても細胞が膜から剥がれず、細胞の仮足が細孔内部に入り込みながら増殖していることをうかがわせていた。
|
Research Products
(1 results)