2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体ナノポーラス構造のサイズ制御と機能化による医用材料への展開
Project/Area Number |
19350107
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上原 宏樹 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70292620)
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Keywords | ナノ・ポーラス / ブロック共重合体 / 細孔膜 / 医用材料 / 自己組織化 / インテリジェント・メンブレン |
Research Abstract |
ポリエチレン/ポリスチレン・ジブロック共重合体の結晶化フィルムに様々な時間でエッチング処理を施してナノポーラス膜を調製したところ、エッチング時間の経過に伴い細孔モルフォロジーが明瞭化していることが走査プローブ顕微鏡像から確認された。しかしながら、長時間エッチング処理すると、ポリエチレン骨格成分まで破壊されるために理想的なナノポーラス構造は得られなかった。そこで、細孔サイズを定量的に比較するために、観察像から断面プロファイルを切り出し、細孔サイズ分布を見積もった。この際、細孔の長軸に対して垂直に断面プロファイルを切り出し、谷の深さを計測し細孔サイズとして集計した。本研究で調製したナノポーラス膜のうち、最も細孔モルフォロジーが明瞭に観察されている試料について、100個の谷から求めた細孔サイズをヒストグラムにしたところ、その値はある程度の幅で分布しており、11nmが最も出現頻度が多かった。このヒストグラムから膜の細孔サイズの平均値を求めると14nmとなった。 このエッチング膜に加えてエッチング処理を施していない結晶化フィルム(細孔サイズ0nm)と細孔サイズ7nmのエッチング膜を用いて細胞増殖実験を行った。その結果、どの膜上でも細胞の増殖が認められた。また、細胞培養1週間培養後とトリプシンを用いた細胞分離処理後の膜の様子を比較したところ、ナノポーラス膜では細胞分離処理後でも細胞が膜表面に残存していることがわかった。そこで、回収した細胞数を計測したところ、細孔サイズの増大に従い、回収細胞数が減少していることが確認された。これは、ナノポーラス膜では細胞の持つ仮足が膜表面の細孔内部にまで入り込むことで強固に接着していることを示唆している。
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