2008 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性高分子の分極反転の時空間制御と不揮発性ポリマーメモリーの構築
Project/Area Number |
19350114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古川 猛夫 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (90087411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 芳行 東京理科大学, 理学部, 助教 (80266923)
山本 亮一 東京理科大学, 群馬産業技術センター材料食品グループ, 独立研究員 (40469888)
中嶋 宇史 東京理科大学, 理学部, 助教 (60516483)
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Keywords | 強誘電性 / フッ化ビニリデン / 薄膜 / 走査プローブ顕微鏡 / 圧電応答 / 分極反転 / ドメイン / 運動論 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、単一結晶内の分極反転計測をめざし、電圧の短パルスを走査プローブ顕微鏡内において試料に印加できるように装置の改造をおこなった。そのために、外部の任意波形発生器を増幅器を通して顕微鏡内の試料に接続し、さらに試料に生じる電荷応答を計測する電荷増幅器を接続した。このシステムを用いて、薄膜熱処理試料について電圧パルスを印加後、圧電応答顕微法によって分極反転の際の分極分布を測定した。あらかじめマイナス方向に分極処理をおこなった試料においては、試料全面がマイナス方向に分極を持っていることに対応した圧電応答を示す。これにプラス方向の電圧パルスを印加すると、部分的に圧電応答の極性が反転した領域が観測された。この領域は、数、大きさ共にパルスの長さが長くなるに従って増加し、最終的には全面が反転した状態となった。これは、分極が反転した小さな領域(反転核)が生成し、その領域が広がることによって反転が進行するとする反転核生成・成長モデルを支持する結果である。これによって、核生成頻度および成長速度を見積もることが可能となった。これらの量は、分極反転機構を解明する上で非常に基本的かつ重要な量である。今後、これらの量について詳細に検討することによって、この物質における分極反転の機構について解明を進め、高精度な分極制御をめざす予定である。 これと平行して、ポリマーメモリーの構築をめざし、シリコンウエハおよび有機半導体、有機導電体等を組み合わせた、メモリーデバイスの試作を続けている。シリコンウエハ上においては、基本的なメモリー動作が確認されており、その際の空乏層内の電荷の挙動について、詳細に検討した。また有機半導体や有機導電体を用いた全有機メモリーについては、性能が不十分ながらその改善に向けて不純物の精製、ドーパントの添加についての設計指針を得た。
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Research Products
(8 results)