2009 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性高分子の分極反転の時空間制御と不揮発性ポリマーメモリーの構築
Project/Area Number |
19350114
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古川 猛夫 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (90087411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 芳行 東京理科大学, 理学部, 助教 (80266923)
山本 亮一 東京理科大学, 群馬産業技術センター材料食品グループ, 独立研究員 (40469888)
中嶋 宇史 東京理科大学, 理学部, 助教 (60516483)
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Keywords | 強誘電性 / フッ化ビニリデン / 薄膜 / 走査プローブ顕微鏡 / 圧電応答 / 分極反転 / ドメイン / メモリー |
Research Abstract |
最終年度となる今年度においては、昨年度までに確立した測定法および得られた知見をもとに研究を進めた。 高電場下における分極反転挙動について、本年度はより短時間領域における測定精度を高めた結果、分極反転速度の電場依存性が高電場域において変化し、これまで信じられていた反転速度の限界を超えた高速な分極反転を示すことを見いだした。これによって、より高速なメモリー素子としての応用が可能であることを示したことに加え、分極反転の機構を考察する上で重要な新たな知見を与えた。 分極反転過程を微視的に観測する時分割圧電応答顕微法の改良を行い、信号雑音比および分解能を向上させた結果、強誘電性高分子における反転分域の形成とその時間発展を明瞭に観測することに成功した。分極反転の機構としては、セラミクス系の強誘電体と同様に、微小な反転分域の核生成とその成長によって反転が進むと考えられてきたが、それを強誘電性高分子において実際に観測した例はなく、今回初めてそれを実証したことになる。微小な結晶内において反転分域の核生成がおこっていること、個々の結晶内においてはほぼ単一核成長によって反転が完了することなど、これまでのマクロなスイッチング測定では確定できなかった成長過程が極めて明瞭になった。さらに、電場範囲は限定的ながら、分極反転速度の電場依存性についての測定をおこない、前述の高電場域における知見と対応させて、強誘電性高分子における分極反転機構についての踏み込んだ考察をおこなった。 一方、半導体高分子膜上に強誘電性高分子薄膜を形成し、電極にも導電性高分子を用いた全有機メモリー素子を作成して、成膜条件や処理条件を検討した結果、メモリーとしての基本的な特性を発現することに成功した。半導体と強誘電体の界面のおける電荷の挙動の詳細な解析をおこなって、メモリー特性に及ぼす要因の解明を進め、実用化に向けた指針を得た。
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Research Products
(12 results)