2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子状態・表面形態と電気特性のその場同時計測による有機トランジスタ動作機構の解明
Project/Area Number |
19360004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉木 幸一朗 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70143394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 進 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (20401234)
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Keywords | 有機トランジスタ / 電界効果移動度 / 電荷注入障壁 / 両極性 / ペンクセン / LEEM,PEEM / 薄膜成長 / 自己組織化膜 |
Research Abstract |
本研究課題では,(1)薄膜形態と有機トランジスタ特性の相関の解明,(2)電子状態と有機トランジスタ特性の相関の解明,を目的として研究をおこなっているが,今年度の成果は以下のとおりである. 1.東北大金研との共同研究により,初期成長時におけるペンタセン薄膜の成長形態および超薄膜の表面形態をLEEM(Low energy electron microscopy),PEEM(photo-emission electron microscopy)を用いてreal timeで追跡し,表面の不純物の有無によって1-2層の超薄膜の安定性が変化することを見出した.同条件下でペンタセン超薄膜のトランジスタ特性の時間変化を測定したところ,表面に不純物が存在した基板上に作製したペンタセンの特性は,LEEMで観測された分子移動による形態変化に対応して移動度の低下が観測された. 2.ペンタセンFETの複素インピーダンスを測定し,その周波数依存性を解釈するために分布定数回路によるモデルを構築した.その結果,複素インピーダンスの測定を用いれば2端子測定の結果からも接触抵抗とチャネル抵抗の分離が可能であることが明らかになった.またゲート電圧が正側の空乏状態においてもボトムコンタクト配置の場合にはチャネル容量の増加が観測されるが,これは電極近傍のペンタセン薄膜の乱れに起因する電荷の寄与であることが明らかになった. 3.電界強度の増加をはかるため,CaF_2超薄膜のゲート絶縁膜への適用の可否を明らかにするため,Si上に成長した数nmのCaF_2の耐圧を原子間力顕微鏡のカンチレバーを用いて測定した.その結果,降伏電界強度は8×10^6V/cmであり,SiO_2に匹敵することが明らかになり,電界効果トランジスタ応用への道が拓かれた.
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