2007 Fiscal Year Annual Research Report
光通信波長帯でのもつれ合い光子対発生に向けた量子ドットの励起子微細構造制御の研究
Project/Area Number |
19360013
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 芳樹 National Institute for Materials Science, 半導体材料センター, 主任研究員 (60354346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉木 敏治 慶応大学, 理工学部, 准教授 (70261196)
池沢 道男 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (30312797)
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Keywords | 量子ドット / 励起子 / 単一光子 / 発光寿命 / 位相緩和 / 光通信波長帶 |
Research Abstract |
本年度は、ダブルキャップ法で形成したInAs/InP量子ドット内のエネルギー準位の詳細や励起キャリアの輻射再結合寿命、位相緩和時間について明らかにするため、光学特性評価を中心に研究を行った。 まず、サンプル上にメサ構造を形成して数個以下のドットの存在する領域の顕微PL分光を行い、電気的に中性な励起子や荷電状態の励起子に由来すると思われる微細構造スペクトルを見出した。また、近接場顕微鏡(NSOM)を用いて量子ドットサンプルの評価を行い、メサ上の顕微PL法と同様な励起子発光スペクトルの観測に成功した。顕微PLとNSOMで得られたスペクトルの比較により、観測された複数の輝線スペクトルが単一の量子ドット内の異なるエネルギー準位の微細構造分裂から生じていることを確認できた。NSOMではメサ構造作製プロセスが不要であり、成長したサンプルをそのまま観察することが可能なため、今後の研究を効率的に遂行できるという点で意義が大きい。 次に、InAs/InP量子ドット内のキャリア緩和過程の詳細を明らかにするため、アップコンバージョン法による再結合寿命測定(T_1)、マイケルソン干渉法を用いた位相緩和時間(T_2)の測定を開始した。InAs/InP量子ドットの発光波長は1.3-1.55μm帯をカバーする光通信波長帯にあるため、検出感度の観点から可視域の測定に比べて難易度は高いことが懸念されたが、ダブルキャップ法による量子ドットの光学特性が優れているため、上記手法でT_1とT_2の測定にも成功した。これとは別に4光波混合のひとつであるフォトンエコー法による量子ドット評価も開始した。上記の研究で得られたデータの詳細な解釈は今後の課題であるが、光通信波長帯でのもつれ合い光子対発生に向けたいくっかの重要な基礎データが収集できた。次年度は結晶成長技術の向上とも合わせ、エネルギー微細構造の制御に取り組む予定である。
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Research Products
(12 results)