2008 Fiscal Year Annual Research Report
光通信波長帯でのもつれ合い光子対発生に向けた量子ドットの励起子微細構造制御の研究
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19360013
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 芳樹 National Institute for Materials Science, 半導体材料センター, 主幹研究員 (60354346)
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Keywords | 量子ドット / 励起子 / 単一光子 / 位相緩和 / 励起子微細構造 / 光通信波長帯 / MOCVD |
Research Abstract |
本年度は、ダブルキャップ法で形成したInAs/InP量子ドット内のエネルギー準位や励起キャリアの励起子微細構造、位相緩和時間を明らかにするため、顕微PLや近接場顕微鏡(NSOM)を用いた光学特性評価、ならびにエネルギー準位に関する理論的な研究を進めた。まず、単一のInAs/InPドットの顕微PL分光の詳細な研究を行い、70-80μeV程度の励起子微細分裂が存在すること、またドットが[1-10]方向に伸びた菱型形状を持つことに由来して、PL光が[1-10]方向に直線偏光していることを確認した。また、量子ドット内の励起準位に共鳴するエネルギーを持つ光で励起子を生成した場合、Hanbury-Brown&Twissの光子強度の自己相関計測で得られるg^<(2)>(τ=0)の値がほぼゼロ近くまで低下し、極めて純粋な単一光子源となることがわかった。InPバリア層を非共鳴に励起する場合には、共鳴励起とは明らかに異なる励起子緩和過程が存在し、単一光子の純度を低下させている。さらに、偏光特性や励起子微細分裂幅について単一ドット内のエネルギー準位の理論計算を行い、実験値と良く一致する結果を得た。量子ドット内の励起子再結合を用いたもつれ合い光子対発生を実現するには、上記の実験で観測された励起子微細分裂の制御が重要になる。ひとつの候補としてドット内励起子の再結合寿命測定(T_1)をキャビティ等を利用して位相緩和時間(T_2)よりも短くする方法が考えられる。そのためには、まず典型的なT_2の値を知る必要があり、マイケルソン干渉法による単一ドットの測定を行った。この結果、8Kにおいて130ps程度のT_2を得た。この値は1.3-1.55μmの通信波長帯の量子ドットとしては非常に長く、今後Purcell効果を利用してT_1の値を短縮することができれば、光通信波長帯でのもつれ合い光子対発生が実現できると言える。以上のように、本年度の研究によって光通信波長帯でのもつれ合い光子対発生の実現の指針となる基礎データを収集できた。
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Research Products
(14 results)