2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
本橋 健次 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (50251583)
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Keywords | 多価イオン / 表面分析 / 二次イオン質量分析 / 電子捕獲散乱 / 原子層選別 / 同時計測 / 二次電子 / 水素原子 |
Research Abstract |
多価イオンの高い反応性、高い選択制、ソフトな反応、という三つの特徴を活かした新しい表面分析法の実現を目標とし、装置開発と性能評価を進めた。平成20年度は、散乱イオン及び二次電子との同時計測による二次イオン質量分析法の開発を行った。これは表面に対し浅い角度で入射した多価イオンが、表面で固体の電子を捕獲して散乱する過程を観測することにより、原子層を選別した表面化学分析を行う方法である。 散乱イオンと二次イオンとの同時計測では、散乱イオンの速度測定と二次イオンの質量分析を同時に行うコインシデンス計測法を確立した。入射イオンが表面から何層目の原子で散乱されたかによって、散乱イオンの速度が異なることを利用し、表面第1層と第2層を区別することができる。この方法により、窒化ガリウム単結晶表面に混入した水素原子が表面第1層のガリウム原子と結合していたのか、第2層の窒素原子と結合していたのかを区別することに成功した。この方法では、検出感度は入射多価イオンの価数の3〜5乗に比例して増大するため、高電離多価イオンを用いれば、混入水素原子密度の高感度測定が可能である。不純物水素原子が物性に与える影響は大きく、これを原子層選別しながら定量的に分析できる本測定法は実用上極めて有用である。 一方、二次電子と二次イオンの同時計測では、自己組織化チオール単分子膜表面からの解離フラグメントイオンを高感度に検出することに成功した。高電離多価イオン照射では、二次電子の収量が極めて高いため、従来法と比較して高感度分析が期待できる。
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