Research Abstract |
21年度は,正確な見えの再現に必要な,光線情報(Incident Light Field, ILF)の取得に関する研究を行った.背景としては,製品デザインやゲーム産業,映画などの分野における様々なアプリケーションで,CGを用いた仮想物体のリアルな再現が求められている.仮想物体の見えを実物体の見えに近づけるために,実際に現実環境の光線情報を用いてレンダリングを行う必要がある.現実環境を取得する手法はこれまで様々な手法が提案されており,その1つとして,Mirror sphereを空間の多数点で撮影することによって,空間全点を通過する全方向の光線情報(Incident Light Field, ILF)を取得する手法がある.この手法は,環境の複雑な空間的変化を再現することができるが,データ容量が膨大となるため,レンダリング時間が長いという問題点があった.この問題を解決するために,Per direction lightingを用しいたレンダリング手法が提案されている.この手法は平面鏡め撮影によってある平面上のILFを取得し,正投影画像に変換して仮想物体に投影することで高速レンダリングを可能としているが,取得しているILFが局所的であるため正確な再現はできていない. そこで,今年度ではMirror sphereを用いて,ハーフキューブ平面上の正投影画像を取得し,投影方向によって異なるハーフキューブ平面に投影する手法を提案する.本手法により,ある空間内では完全なILFを用いることができ,高精細な仮想物体の再現が可能となった.光線情報(Incident Light Field, ILF)の取得は長時間を要するが,再現はリアルタイムで行うことが出来る.
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