2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 康志 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60294047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VERMA Prabhat 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 准教授 (60362662)
橋本 守 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (70237949)
藤田 克昌 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80362664)
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Keywords | チップ増強ラマン散乱 / 化学増強効果 / 近接場ナノ分光 / 無電解還元法 / 表面増強ラマン散乱 / 化学吸着 / 局在プラズモン / 分子ナノイメージング |
Research Abstract |
本研究では、金属ナノ探針と試料間距離をオングストロームオーダーの精度で制御しながら近接場ラマン散乱スペクトルを逐次測定する方法を開発し、金属原子と分子が錯体を形成するメカニズムを解明することを目的としている。本年度は金属ナノ探針と試料間距離を逐次変化させスペクトルを測定する装置を開発した。具体的には、タッピングモードの原子間力顕微鏡を用い、カンチレバーのたわみ振動に同期した時間ゲートを検出器にかけて、ラマン散乱光を測定した。時間ゲートのタイミング(位相)をカンチレバーの振動に対して変化させることで、任意のナノ探針-試料間距離におけるラマン散乱光を選択的に検出することを可能とした。アバランシェフォトダイオードと時間ゲート付きフォトンカウンターを用い、モノクロメーターを介してラマン散乱光を検出するシステムを試作した。共振周波数が約125kHz(周期:T=8マイクロ秒)のカンチレバーを用い、ゲートの時聞幅を100ナノ秒(=T/80)とし、単層カーボンナノチューブのGバンドのピーク強度の距離依存性を測定した。その結果、10nm以内の近接領域でラマン散乱光強度が著しく増強し、距離に対して指数関数的に減衰する様子を観察することができた。試料近傍における位置分解は0.19nmであった。 光を効率的に閉じこめることができる金属ナノ結晶を用いた金属ナノ探針の作製も検討した。銀ナノ結晶の作製にはポリオール法と呼ばれる無電解還元法を用い、反応過程を制御することで、立方体形状、八面体形状等のナノ結晶を作製することに成功した。白色光による銀ナノ結晶からの散乱光を観察したところ、共鳴波長が均一である、すなわち同じ光学特性を有することを確かめた。さらにカンチレバーを熱処理し、チップからのシリコンラマンピークを除去する技術の開発も行った。
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