2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小液滴射出・操作技術を用いたナノレオロジー計測工学の創生
Project/Area Number |
19360039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 啓司 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (00215584)
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Keywords | 微小液滴 / レオロジー / 界面吸着現象 / 衝撃波吐出 / ストロボ顕微撮影 / 粘弾性測定 / 動的表面張 |
Research Abstract |
液晶やゲル、ミセルや分子膜など分子集合体が形成する生体系などの複雑流体は、自己組織化的に高度に秩序化された内部構造を形成する。これらの物質群はソフトマテリアルとも呼称されるように、温度や電場・磁場などの外的刺激に応じて容易にその構造を変化させ、さまざまな機能を発現する。近年、これらの性質を新しいミクロデバイス材料へと応用しようとする試みが盛んに進められている。本研究の目的は、我々がこれまでに培ってきた微小液滴の吐出・衝突・融合化技術ならびにその変形・回転運動の高時間分解能観察手法を用いて、μmサイズの流体のレオロジー物性を研究する「超高速変形ナノレオロジー計測工学」を創生し、その基本要素技術を産業界における汎用の計測ツールとして供与することを目的とする。 本年度は連続的に印加された圧力により射出された液柱に対し、超音波域の圧力変動による微細な動径ゆらぎを自励的に発展させて、毎秒100,000個以上の速度でピコリットル液滴を生成する技術を開発した。この分裂現象の観察から、非常に大きな速度歪における粘弾性緩和や表面張力の時間依存性を測定することができる。またこの技術は、液滴の融合による高次構造を有するマイクロカプセル生成などにとって非常に有効な技術である。さらに射出ノズルの機械共振を利用して、フェムトリットル液滴の射出に成功した。これはサブμmの精度でのパターン形成を行う技術に応用することが可能である。
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