2007 Fiscal Year Annual Research Report
凝着域モデルとフェーズフィールド法を融合したマルチスケール計算破壊力学の確立
Project/Area Number |
19360044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (50252606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 祐介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10403172)
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Keywords | ナノ多結晶体 / 計算力学 / 転位 / 分子動力学法 / 非線形局在モード / 水素拡散 |
Research Abstract |
本研究課題は、超微小材料そのもの破壊から、超微小材料を構成要素とするマクロ構造やナノ構造材料のマクロ試料の破壊までをシームレスに取り扱う凝着域モデルとフエーズフィールド法を融合した新しいマルチスケール計算破壊力学理論の構築とその実証を目的としている。 本年度は、理論定式化のための定性的な知見を得ることを目的として、鉄のナノ多結晶体中のねじり変形とき裂進展問題に対する分子動力学シミュレーションを実施した。具体的には、ナノ多結晶モデルを作成し、初期き裂を設定し、モードI型の開口変位を与えて分子動力学シミュレーションを実施し、き裂近傍の変形機構を考察した。解析は小規模降伏の仮定の下で、線形弾性解にもとづく変位を境界条件として与える方法で行なった。結果から、き裂先端近傍に現れる各種の欠陥を共通隣接解析により抽出し、これらの欠陥構造の時間発展と力学パラメーターの関係を記述する基礎となるデータを求めた。加えて、以下の検討を行った。 1.欠陥の周囲の水素原子の拡散過程について解析し、水素と欠陥の相互作用による原子間の結合エネルギーの変化について調べた。 2.マルチフィジックス系の定式化と解析の例として、生体軟組織中の弾性体と水の混合体モデルに対して開放系としての変形体力学モデルについての定式化を行った。 3.古典的な弾性エネルギーの解放と表面エネルギーに基礎を置く破壊力学理論を拡張する体系として、非線形局在モードによるエネルギーの局所的な貯蔵と破壊に伴う解放について考察し、その予備的研究を行った。
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