2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高速切削過程の高表面活性と塑性衝撃波による高静水圧を用いた先駆的機能面創成
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19360057
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
篠塚 淳 Yokohama National University, 工学研究院, 准教授 (30282841)
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Keywords | 超高速切削 / 塑性衝撃波 / 応力波 / 静水圧 / 切削機構 / 仕上げ面性状 / 切りくず生成 / 切削力 |
Research Abstract |
比切削抵抗の時間変化をより詳細に解析できるよう装置を改良した.A2017-0の高速切削実験では,切削速度60~150m/sでは,せん断角は上昇し,比切削抵抗と摩擦角はともに減少し,また切削速度が70m/s程度までは表層の塑性流動層は確認できたが,切削速度が130m/s程度ではこれは確認できず,また表面粗さも小さくなることが分かった.純鉛を被削材とした超高速切削実験では,切削速度が120m/s程度(塑性波伝播速度の1.5倍程度)を超えると,比主分力も比背分力も急激に増加し,摩擦角は急激に増加し45°に達する現象が分かった.非主分力が急激に増加するのは塑性衝撃波に起因していると推測でき,この高い静水圧により,工具-切りくずの真実接触面積は理論接触面積に漸近するため,工具すくい面上の平均の摩擦応力は純鉛のせん断降伏応力に達する.ところが単純せん断モデルを想定すると,せん断面せん断応力は0になる.これは常用の切削理論では説明できない現象であり,超高速切削過程特有の新たな現象が発現したものと考える.この現象を詳細に検討するためには,切削温度の把握が極めて重要であることが分かり,これを計測するためのセンサの作成手法を検討した.さらに空孔率が20%程度のFe焼結体を切削速度70~130m/sで切削実験を行った結果,切削速度が100m/sを超えると比切削抵抗が急激に上昇することが分かった.これはせん断域の空孔が急激に圧縮され,せん断域の材料がバルク材に近づくためと理解できる.また切削速度70m/s程度では塑性流動により表面の空孔は見えないが,切削速度130m/sでは,塑性流動がほとんど起きないため表面に多数の空孔が露出していることも分かった.この現象をシミュレートするため,ポーラス体を含む不均質材のFEM切削シミュレータを開発し,これは材料素材設計にも有効に利用できることを示した.
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Research Products
(4 results)