2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ秒/連続発振レーザによる透過性硬脆材料の精密微細加工とその知能化
Project/Area Number |
19360065
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大村 悦二 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (90144435)
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Keywords | レーザ加工 / 硬脆材料 / レーザスクライブ / レーザ内部加工 / 吸収係数 / 亀裂 / 熱伝導解析 / 熱応力解析 |
Research Abstract |
本研究では,透過性のナノ秒パルスまたは連続発振のレーザビームを照射することによって誘電体や半導体などの精密微細加工を試み,加工メカニズムの解明とパラメータ制御について学術的立場から検討して産業界の要望に応えることを目的としている.本年度の主な成果は以下のとおりである. (1)ガラスのクロスレーザスクライブ機構1次スクライブ線のエッジに初期亀裂を導入していないにも関わらず2次スクライブが進行するが,その進行メカニズムとして,2次スクライブの加熱域で1次スクライブ面が圧接される場合と,2次スクライブの冷却域において,1次スクライブ面に生じる摩擦力によって引張応力が伝達される場合の二つの形態があることを明らかにした. (2)レーザ重ね照射によるレーザスクライブ亀裂伸長レーザスクライブ後にスクライブ線に沿って重ね照射を行うとレーザスクライブ亀裂が深さ方向に仲長することを,熱弾性解析によって,ガラス表層に大きな圧縮応力が生じ,ガラス内部に発生した引張応力が亀裂先端に集中することで亀裂が伸長するメカニズムを明らかにした.適切なレーザ重ね照射条件を推定できることも示した. (3)レーザスクライブにおける板厚と線膨張係数の影響昨年度提案したレーザスクライブ可能条件の推定方法が板厚0.4〜1.1mmであれば板厚に関わらず適用できること,線膨張係数がソーダガラスより小さい液晶ディスプレイ用アルミノシリケートガラスにも適用できることを示した.セラミックスなどの硬脆材料のレーザスクライブ可能性を検討し,アルミナセラミックについて実証した. (4)透過性パルスレーザによるシリコンウェハの内部改質半導体プロセスで不可欠なダイシングの前工程として,ナノ秒パルスレーザを照射してウェハ内部に改質層を形成した場合,ウェハ表面に形成されているデバイスへの熱影響が十分小さいことを理論的に示した.
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