2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360076
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 健次 Kyushu Institute of Technology, 工学部, 教授 (40229480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満昭 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 客員教授 (00404103)
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Keywords | トライボロジー / 固体潤滑膜 / 二硫化モリブデン / スパッタリング / 潤滑特性 / 大気中 / 密着力 / 摩擦熱 |
Research Abstract |
二硫化モリブデン固体潤滑膜の大気中でのすべり摩耗機構の解明を目的とした研究を実施した。まず、密度3.7g/cm^3の膜をSUS440C製ローラまたは板上に作製し、潤滑特性が湿度によって大きく異なる原因を解明するための実験を実施して以下の成果を得た。 1.二硫化モリブデンスパッタ膜の摩擦部の生成物の解析 摺動部と非摺動部についてAES分析とXPS分析を行った。摺動によって膜内部まで酸素含有量が増加し、その増加量は摩擦時の湿度が高いほど多い。また摺動によってMoO_2の増加とMoS_2の減少が起こる。この傾向は湿度が高いほど大きい。 2.摩擦熱と摩擦係数の関係を測定 すべり速度を4桁程度まで変えることによって摩擦熱が殆ど発生しない領域と発生する領域で摩擦試験を行い、種々湿度における摩擦係数を測定した。摩擦熱が発生する条件下では湿度が高くなると摩擦係数が増大するのに対して、摩擦熱が殆ど発生しない条件下では摩擦係数は湿度によらずほぼ一定の低い値を示す。 次に、結晶配向性の異なる三種類の二硫化モリブデンスパッタ膜をSUS440C製基板上に作製して、膜の密着力と結晶配向性、摩擦寿命、および湿度との関係を測定した。 1.結晶配向性がランダムな膜ほど膜の密着力が大きい。 2.膜の密着力が大きい膜ほど摩擦寿命はながい。 3.膜の密着力は湿度を変えても大きく変化しない。 さらに、走査型プローブ顕微鏡システムで二硫化モリブデンスパッタ膜の各粒子の摩擦力を測定した。二硫化モリブデンスパッタ膜は数十nmオーダのナノ粒子で構成されており、各粒子間で摩擦力が異なることを見出した。これは結晶配向により摩擦力が異なることを意味している。
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Research Products
(6 results)