2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360076
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 健次 Kyushu Institute of Technology, 大学院・工学研究院, 教授 (40229480)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満昭 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 客員教授 (00404103)
|
Keywords | トライボロジー / 固体潤滑膜 / 二硫化モリブデン / スパッタリング / 潤滑特性 / 乾燥空気 / 湿度 / 転がり軸受 |
Research Abstract |
昨年度からの研究で,二硫化モリブデンスパッタ膜の大気中での潤滑特性が極端に低下する原因は,膜に浸入した水分である可能性の高いことが明らかとなった.そこで,膜に水が浸入しにくい膜作製法を提案し,その効果を検証した.すなわち,アルゴン分圧3Paでスパッタ膜を形成後,真空チャンバ内へ乾燥ガス(空気,窒素)を導入したのち大気開放するという膜作製法を実施して,大気中の潤滑特性に及ぼす測定時の湿度,密封パックからの開封時の湿度,保管日数の影響について調べた.得られた成果は下記のとおりである. (1)測定時の湿度と潤滑特性 ・乾燥ガスを導入していない試料に比べて高湿度環境下での寿命は長く,摩擦係数は小さい. ・寿命と摩擦係数に及ぼす乾燥空気と窒素ガスの違いはほとんどない. (2)シリカゲル同梱の密封パックから試料を取り出したときの湿度と潤滑特性 ・開封時の湿度が高くなるにつれて寿命は短く,摩擦係数は大きくなる. ・乾燥ガスを導入していない試料に比べて寿命は長く,高湿度側で摩擦係数が小さい. (3)30%RH湿潤環境下での保管日数と潤滑特性 ・乾燥ガスを導入していない試料に比べて保管前後の寿命が長く,摩擦係数が小さい. さらに,スパッタ時のアルゴン分圧が1.7Paと4Paの条件で膜を作製して乾燥空気の導入効果を調べ3Paで作製した膜と比較した結果,結晶格子部の欠陥が少ない4Paで作製した膜が寿命も摩擦係数も最も優れていることが分った.ただし,保管日数50日以上で寿命の低下が見られることから,更なる改善を行うためにはスパッタ膜の欠陥部をできるだけ少なくすることが必要となる.
|
Research Products
(3 results)