2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子非線形音響学を創成し、マイクロスケールの質量・運動量・エネルギ輸送を切り拓く
Project/Area Number |
19360077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢野 猛 Osaka University, 工学研究科, 教授 (60200557)
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Keywords | 分子気体 / 希薄気体 / ボルツマン方程式 / 非平衡 / 非線形 / 音波 / 蒸発・凝縮 / 分子動力学 |
Research Abstract |
系の代表長に対する気体分子の平均自由行程の比はKnudsen数とよばれ、気体の希薄度を特徴づける無次元パラメータである。一般に、Knudsen数が1に比べて十分に小さければ(たとえば100分の1)、希薄化の効果(分子運動が局所平衡でないことによる効果)は十分小さく、粘性応力に対するNewton流体の仮定と熱流に対するFourierの法則を用いる流体力学が有効であると考えられている。しかしながら、かりにKnudsen数が1000分の1程度であっても、音波のMach数が同程度であるときに、音波だけを考慮して希薄化の効果を無視することが許されるとはかぎらない。実際、大きな温度差をもつ小さなデバイスの内部の定常状態の気体に、希薄化の効果が現れて流体力学の基礎方程式が適用できなくなることは、Ghost effectとしてすでに知られているところである。しかしながら、定常流でなく音波の場合にどのような効果が現れるか、さらに音波特有の非線形効果にどのような影響が生じるか、などはこれまで調べられたことがない。 本年度は昨年度に引き続き、(1) 音源と気液界面ではさまれた空間の多原子分子気体中に励起される線形定在波に対して、多原子分子気体に適用可能なGaussian-BGK-Boltzmann方程式に基づいた漸近解析を行い、分子気体効果が音波に与える影響を解析した。(2) 飽和蒸気中の微小液滴に対する分子動力学解析を行い、蒸気圧と表面張力の液滴半径依存陸を明らかにした。(3) 音波が気液界面で反射される際、界面で蒸発あるいは凝縮が生じていれば、その影響は音波の反射率に現れる。これを利用して気液界面の蒸発係数の測定を行う方法論の提案を行った。詳細は発表文献に示す。
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Research Products
(4 results)