2008 Fiscal Year Annual Research Report
白内障手術に起因した角膜内皮細胞剥離を抑制するための手術用ハンドピースの開発
Project/Area Number |
19360082
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
榊原 潤 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (10292533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治 優一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50361332)
大鹿 哲郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90194133)
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Keywords | 流体工学 / 眼科学 / 医療機器 / 白内障乳化吸引術 / 可視化 |
Research Abstract |
本年度は、豚眼内のせん断応力の計測と、新型ハンドピースの試作を行った。従来型ハンドピースであるコアキシャル型およびバイマニュアル型を豚眼に挿入し、ハンドピースから作動流体である水を吸引・噴射した。スキャニングPIV法によって眼球内流速分布を三次元的に求め、平均流速場から角膜内皮における平均せん断応力を求めた。せん断応力は角膜に最も近い速度測定点で計測された速度と角膜からの距離から算出した。その結果、コアキシャル型では少なくとも1dyne/cm2、バイマニュアル型では少なくとも5dyne/cm2のせん断応力が発生することが明らかとなった。この値は、従来の研究により内皮細胞に影響を与えうる大きさである。なお、ここで求められたせん断応力は時間平均値であること、角膜近傍における速度の解像度が不十分であることなどから、実際の瞬時せん断応力は計測値を大きく上回ると予想される。 せん断応力を低減させるために、噴出速度が小さいハンドピースの試作を行った。既存のハンドピースの先端に、100マイクロメータオーダのスパイラル状の流路を内部に有する新開発のスリーブを挿入した。形状が極めて複雑であるため通常の切削加工が適用できないことから、光造形による微細加工によって製作した。製作は光造形において世界最先端の技術を有するテキサス大学Keckセンターで行った。このスリーブを用いることで、ハンドピース先端から旋回を伴った流体を噴出させることを可能とした。この流れをステレオPIVで計測したところ、従来型に比して噴出速度の減衰が大きいことが確認された。
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Research Products
(1 results)