Research Abstract |
微小圧力変動の空間分布を計測するための感圧塗料(PSP)技術開発を進めた.陸上輸送機器の主要速度域である0(10m/s)の変動圧画像計測法を確立し,風洞実験のコスト低減,詳細な数値予測のための基礎データの提供を実現することを目的として,本年度は,(1)任意の材質,形状の物体に「塗れる」高速応答型感圧塗料,および,(3)風洞中に置かれた物体周りの微小非定常圧力場計測を行った.(1)については,ナノメートルサイズのセラミック微粒子と色素を用いた新しいPSPの開発に成功した.この技術については,現在本学より特許を出願すべく準備が進んでいる.本PSPは,従来の高速応答型PSPに比べて,圧力感度,時間応答性は同等,発光強度はより高い,スプレーによる塗装が可能,という優れた特性を有し,種々の実験への応用が格段に進む可能性を有する.ただし,性能試験を通じて,発光強度に対する温度依存性が非常に大きい,という問題があることわかった.(2)については,遷音速風洞によるデルタ翼面上の非定常圧力分布の計測,および,超音速風洞における擬似衝撃波の振動現象の画像計測を進め,それぞれ良好な結果を得た.いずれも高速度ビデオカメラを用いた流し撮りによる時間分解計測であり,簡便な装置構成,測定方法により,従来の(半導体圧力センサを用いた)点計測に匹敵する定量的な圧力データが得られる見通しが得られたことが特筆される.なお,以上の成果は,本年8月に行われるアメリカ航空宇宙学会応用空気力学会議において,2件の口頭発表として公表される予定である.
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