2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360090
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, システム理工学部, 教授 (80150225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 智昭 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30335187)
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Keywords | 微小血管 / 糖鎖層 / 物質輸送 / 数値シミュレーション / 血球 |
Research Abstract |
血管壁の表面に存在する糖鎖層の生理的意義に関し、(a)血管壁を介する物質輸送、(b)血球への潤滑作用、の2点について、流体力学的観点から研究した。(a)については、昨年度行なった電荷の影響の解析を進展させて、溶質の輸送に与える電気的な影響の解析を行なった。まず、単純化したモデルとして、円筒形の細孔を多数含む膜を介した溶質輸送について解析を行って手法を確認した後に、糖鎖層モデルに対して解析を行なった。具体的には、溶質まわりの電解質溶液の領域において求めた電場から電気的相互作用エネルギーを計算し、溶質の輸送係数で拡散の指標である透過率と移流の指標である反射率を電解質溶液のイオン濃度、電荷量、および溶質サイズの関数として求めた。電気的に中性である場合と比較して、溶質と糖鎖層モデルが同符号の表面電荷をもつ場合には、拡散も移流も減少した。これは、静電相互作用による斥力に起因して溶質サイズが大きくなった場合に相当するため、糖鎖層モデル内で溶質にはたらく流体抵抗が実質的に増加することによると考えられる。また,媒質のイオン濃度が減少する場合も同様の傾向が得られたが、イオン濃度の減少によりDebye長が増加することを考慮すると,この場合も実質的な溶質サイズの増大により説明される。(b)については、昨年度に引き続き、細静脈壁に粘着した白血球周りの流れ場および血管内に浮遊する血球の周りの流れ場の解析を進めて、流れが血球に及ぼす応力分布の解析を行なった。また、血小板および血小板模擬粒子の流路壁近傍における挙動について、マイクロチャネルを用いてレーザー共焦点蛍光顕微鏡により実験的に調べた。血小板の運動は赤血球により大きな影響を受けることが分かり、赤血球との相互作用を含めて解析することの重要性が示された。
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