Research Abstract |
本研究では,マイクロ流路内における気相燃焼に対する壁面材料,壁温の影響を定量的に評価し,マイクロ燃焼器の設計に極めて重要な消炎限界について系統的な知識を得ることを目標としている.本年度は,マイクロ燃焼テストベンチの構築,壁面の化学種が消炎距離に与える影響の評価,マイクロ流路内における条件付きOH2ライン法を用いた温度計測法の確立を行った. (1)マイクロ燃焼テストベンチの構築 種々のパラメータが消炎距離へ与える影響を調査するため,マイクロ燃焼テストベンチを構築した.すなわち,壁面材質として不活性で光学計測が可能な石英(SiO2)を選び,燃焼流路の幅を系統的に変えたマイクロ燃焼器を試作した.燃焼器の両側から赤外線加熱器で加熱することにより,燃焼中の壁内側の温度を300℃程度から1000℃程度まで変化させることができることを確認した.高繰り返し周波数の冷却ICCDカメラにより,OH,CHの自発光から火炎の非定常挙動を観察した.さらに,色素レーザーからの紫外パルス光を光学系により0.1mmオーダーの厚さまで絞った後に,シート光として流路内に照射し,OHラジカルからの蛍光を冷却ICCDカメラで取得する光学系を構築した. (2)壁面の化学種が消炎距離に与える影響の評価 構築した実験装置を用いて,まず,石英製の燃焼器について壁温,燃焼流路間隔を変化させ,メタンを燃料とした場合の燃料流量,当量比が火炎に与える状況を系統的に調べ,マップ化した.また,OHラジカルの自発光計測から,燃料過濃側では火炎の振動が生じることを明らかにした. (3)マイクロ流路内における条件付2ラインOH法を用いた温度計測法の確立 燃焼状態の評価には火炎温度の計測が重要であるが,熱電対では非定常火炎の温度を測定することは困難である.そこで,本研究では,条件付OH2ライン法を用い,これをマイクロ流路内の燃焼場に適用し,温度分布の計測を行った.その結果,熱電対による測定値と符合する結果が得られ,マイクロ流路内でも温度計測が可能であることを示した.
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