2009 Fiscal Year Annual Research Report
MEMSガス拡散層を用いたPEFC内輸送現象基礎研究の新展開
Project/Area Number |
19360095
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伏信 一慶 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50280996)
|
Keywords | 燃料電池 / 熱工学 / MEMS / ガス拡散層 / 輸送現象論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、MEMS技術援用で開発した固体高分子形燃料電池(PEFC)用の新規なガス拡散層により、物質拡散抵抗起源の現象の本質的な解明を図るとともに、新規高性能ガス拡散層開発の指針提示を行い、PEFC内部熱・物質輸送の新たな基礎研究展開の方向性を示すことにある。 交付申請書に従い、最終年度は、理論と実験結果の統合による現象の本質的解明と高性能化の指針提示を目指し研究を遂行した。昨年度から開始した実験的検討を完了し、このなかでパルスレーザ加工におけるパルス伝播や周囲環境等の影響についても検討を行った。これらの結果を利用して数値モデルの精緻化を図り、セル温度や加湿状態、利用率などの様々なセル運転条件に対してセル特性を向上させるためには、例えば擾水性や空孔率などのガス拡散層の設計パラメータがどのように選定されるべきか、という視点から、ガス拡散層の設計指針、高性能化の検討を行った。これにより、低加湿環境下でのガス流量による支配因子の変化を見いだしているが、平成21年9月にASMEでpublishされた汎用GDLでの液水挙動統合モデルによりGDL表面での挙動を無視し得ないということが新たに判明し、モデルの見直しを迫られることとなり、新規の追加検証実験を行い、とりわけ撥水性の及ぼす影響について、高加湿環境下での発電特性に関する実験結果を踏まえたモデルの再検証を行った。以上により、当該新規ガス拡散層を用いることにより、輸送現象に起因する諸因子をフィッティングパラメータ無しのa prioriにモデル化する方向性を示し、反応・輸送連成現象の反応側の影響のみを検討し得る学術的な手法を提示した。実セルのような複雑な構造のシステムの学術的検討において、重要な成果であると考える。また、パラメータ依存性の検討から、その性能予測の考え方を示し、今後の高性能化の指針をも得た。
|
Research Products
(9 results)