Research Abstract |
本年度は窒化アルミニウムやシリコンを中心にマイクロ溝加工を行った.窒化アルミニウムは極めて高い熱伝導率と電気絶縁性から電子材料として重要視されているが,脆性材料のため機械加工での微細加工は困難であり,レーザー加工の適用が期待される.いくつかの窒化アルミニウムのマイクロ溝加工に関する報告がされているものの,いずれも穴あけ加工を中心とした報告に一例として記載されているのみで詳細は報告されていない.本研究では,実際の加工で重要なパラメータとなる,波長や照射エネルギー密度,ライン移動速度,照射時間などを変化させた実験を行った。 まず可視光(532mm)と紫外光(266mm)を用いた溝加工において,波長が加エダメージにおよぼす影響を検討した,その結果可視・紫外光ともにエネルギー密度が大きいほど,ステージの移動速度が大きいほど,試料表面のダメ ージが顕著になっている,また,エネルギー密度がほぼ等しい条件では,532nm波長と比較して移動速度が大きい場合でも266nm波長ではダメージが低減されていることが分かった,可視光による加工は,高エネルギー密度による試料材料の溶解,蒸発に起因し,試料表面では激しい熱衝撃が生じる,それに対し紫外光による加工は,光化学反応が関与するため熱による影響が低減され、表面ダメージの低減にっながると考えられる. 移動速度を固定し,単位長さあたりのパルス数を変化させた際の溝深さを検討した結果,可視光では紫外光と比較して同一パルス数の照射による溝深さが大きくなっており,加工速度が大きくなっていることが分かった.しかしながら可視光では,照射パルス数が増加するに従い,溝深さが一定以上から進展しにくくなり加工速度が著しく低下した.一方,紫外光の場合は加工速度の低下は可視光の場合と比較して小さいことが分かった.
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