Research Abstract |
工場などの産業分野では,電力の約7割が機械等を駆動するためのモータで消費されており,モータ駆動装置における省エネルギー,高効率化,小型化が,地球規模での環境問題からも重要になってきている。交流モータの可変速駆動装置は,一般的に,商用交流電源を直流に変換する整流回路と,直流を任意の振幅と周波数の交流に再変換するインバータの組み合わせで実現される。この場合,整流回路とインバータの2台の電力変換器が必要になり,2回の電力変換により損失も増える。また,直流部の大容量電解コンデンサが装置体積の約4割を占めるので装置が大型になると共に,電解コンデンサの耐用年数が他の部品に比較して短いため信頼性が低下する。このような状況のもと,商用三相交流電源を可変電圧,可変周波数の三相交流に直接変換すると同時に,入力電源電流を力率1の正弦波波形に制御できる三相/三相マトリックスコンバータが注目されている。マトリックスコンバータは,電解コンデンサ等のエネルギー蓄積素子を用いないので小型化が実現でき,さらに,逆阻止スイッチング素子を使用することで,電源から負荷までの電流通過素子数が1個となり,変換器損失を低減できる等の特徴があり,今後の普及が期待される。 本研究では,マトリックスコンバータ制御で複数存在するスイッチングパタンのリアルタイム評価基準を実現することを目的に,波形周期で定義される実効値を,制御周期間における理論に拡張した瞬時実効値理論を導出している。この瞬時実効値理論を,マトリックスコンバータのスイッチングパタン制御に適用し,出力電圧高調波および入力電流高調波をそれぞれ抑制するスイッチングパタン制御を実現している。
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