2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノコンポジット材料による電力機器用電気絶縁材料の高性能化
Project/Area Number |
19360130
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
長尾 雅行 Toyohashi University of Technology, 工学部, 教授 (30115612)
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Keywords | ナノコンポジット絶縁材料 / 電気的物性の解明 / 絶縁破壊 / 空間電荷 / 電気トリー / 伝導電流 |
Research Abstract |
近年の電力流通コスト低減の要求から、電力機器の小型化が進められており、絶縁系に加わる設計ストレスは材料の本質的な破壊ストレスに近づいている。その要求に応えるため、素材の性質の補強またはその改質を行う目的で添加剤・充填剤が高分子絶縁材料に配合される。最近ではナノテクノロジーが注目を集めており、国内外における高分子絶縁材料の分野でも粒径が数十nmであるナノ充填剤を混入させた高分子絶縁材料の研究が開始されている。本研究では、絶縁材料への適用を目指したMgOナノコンポジット絶縁材料の様々な絶縁特性を同一の研究機関において多方面から解明することを目的とした。 ランプ電圧下における絶縁破壊に至るまでの各種特性から、ナノコンポジットの空間電荷が低電界において形成されるが、印加電界の上昇とともにその蓄積した空間電荷が減少すること、上記した空間電荷が減少する電界付近で伝導電流値が急激に上昇すること、ナノフィラー無添加試料は絶縁破壊直前に局所発熱が観測されるが、ナノフィラー添加試料は局所発熱が観測されないことなどが明らかとなった。これらの結果から、弱点部における伝導電流の抑制効果が、ナノコンポジットの直流絶縁破壊の強さを向上していると考えられた。 交流電圧下におけるMgO/LDPEナノコンポジット絶縁材料のトリーイング絶縁破壊現象を理解するため、破壊時間および破壊遅れ時間とその間の内部フラッシオーバの回数を調査した。また、模擬トリー菅を用いて部分放電開始電圧を調査した。これらの結果からMgOナノフィラーの添加は耐トリーイング特性の向上に有益であり、それにはトリー菅内の部分放電が関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)