2008 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル注入制御Geナノデバイスを用いた超高周波キャリア伝導機構の解明
Project/Area Number |
19360153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 徹 Tohoku University, 大学院・医工学研究科, 教授 (40417382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 誉史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10374969)
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Keywords | 半導体物性 / 雷子デバイス / デバイス設計 / 半導体超微細化 / 超薄膜 |
Research Abstract |
本研究は、ソース・チャネル間とチャネル.ドレイン間がPN接合で形成されている従来のトランジスタでは、本質的に解決が困難な、「ソース近傍でのドレイン電界の影響を抑制しつつ、ソースからチャネルへ超高速・高効率でキャリアを供給する」ことに関して、キャリア供給メカニズムの新しい実験的解析法の提案と、その解析に基づく新しいトランジスタ構造の創出を行うものである。トンネル注入制御ゲルマニウムナノデバイス実現のためには、良好な結晶性のGe層を作製することが最重要である。今年度は、Si基板上にSixGe1-x層を成長後に熱酸化を行う酸化濃縮法で作製した高濃度Ge層の結晶性をX光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy : XPS)を用いて詳細に評価した。Geの3p軌道付近のXPSを測定した結果、Ge-Ge結合の強度が濃縮の前後で大きく変化しGeの濃縮が明確になった。また、Siの1s軌道付近のXPS測定の結果、酸化濃縮の前後でSi-Si結合の強度が減少した。これはGe濃縮によりSi-Si結合が減少したためであるが、BOX層下のSi基板の影響のためにGe-Ge結合に比べて変化が少なかった。XPS分析とその他の分析結果から、作製したGe層の結晶性が非常に良いことを明らかにできた。一方、トンネル注入制御ゲルマニウムナノデバイスを高周波動作させて、その出力を外部に取り出すためには高いQ値のインダクタをオンチップで作製することが必須である。今年度は、銅メッキ法で作製した銅平面インダクタの内部に、高透磁率材料であるナノドット状のFePtを埋め込んだインダクタをチップ上に作製する技術を確立した。作製したFePtナノドットの透磁率は7.7であり、通常のSiO_2の透磁率の7倍以上の値を得た。この結果、作製したインダクタンスの値を約20%、Q値を約10%増加させることに成功した。
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