2008 Fiscal Year Annual Research Report
高非線形ガラスを用いた超高速・全光学的デバイスの実現とその高性能化
Project/Area Number |
19360159
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小楠 和彦 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 教授 (20022246)
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Keywords | カルコゲナイドガラス / 非線形光デバイス / 非線形光学特性 / 誘導ブリルアン散乱 |
Research Abstract |
本研究は、Ag-As-SeやAs-Se系カルコゲナイドガラスの高い非線形性とガラス固有の優れた加工性を利用して、全光学形の超高速光スイッチと光双安定デバイスの実現を目指すものである。 本年度は、これらの非線形デバイスの実現に向けて、光リソグラフィと光ドーピングを利用して非線形方向性結合器と非線形リング共振器を高い歩留まりで作製できるようにした。前者のデバイスは2本の単一モード・ストリップ装荷型導波路を1-2μmの間隔で接近させ、入射光強度の強弱によって2つの出力ポートからの光出力を空間的に切り替えるものである。また後者のデバイスはストリップ装荷型導波路のリングに直線導波路を結合させたものであり、光双安定デバイスとして動作する。試作したリング共振器の半径は、曲げ損失を考慮して、100μmとした。波長可変レーザを用いて線形な透過スペクトルを測定し、試作したリング共振器が共振器として動作していることを確かめた。これらの試作デバイスの非線形動作を検証するための光源に使うために、縦単一モードYAGレーザからの光パルス(波長1.06μm,パルス幅12.5ns)を、液体の誘導ブリルアン散乱により1.5nsまでパルス圧縮を行った。この圧縮パルスを使って、鋭意非線形動作の検証を行っているが、まだ確認できていない。 非線形デバイスの研究と並行して、パルス圧縮されたレーザ光を用いた非線形光学特性(非線形屈折率と吸収係数)の評価法を提案、開発し、そのための基礎理論を構築した。As_2Se_3ガラスとSi結晶の非線形光学特性のパルス幅依存性を測定し、入射パルス幅が試作した非線形デバイスの特性に与える影響を明らかにした。 本研究では、全反射を利用した光導波路から構成される光デバイスの開発を目指しているが、デバイスの小型化の観点から、フォトニック結晶化の検討も行い、幾つか成果を上げた。
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