2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360170
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山尾 泰 The University of Electro-Communications, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 教授 (10436735)
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Keywords | 移動体通信 / 省エネルギー / 高周波増幅器 |
Research Abstract |
携帯電話に代表される移動通信システムのブロードバンド化の研究開発が進められているが、このようなブロードバンドシステムでは電話が中心の現在のシステムに比べて、十倍以上の送信電力量を消費することが見込まれる。一方、無線送信装置の電力効率(=送信電力/直流消費電力)の改善は大きな壁に突き当たっている。本研究ではこの限界を打ち破るため、増幅器の最大効率領域(飽和領域)で常時動作させる新たな線形送信方法を提案し、その実現可能性を明らかにする。 提案法では、まず送信すべき変調波の複素包絡線から振幅成分と位相成分を分離し、振幅成分(包絡線)をデルターシグマ(Δ-Σ)変調器によってパルス幅変調(PWM)信号に変換し、位相成分で変調した定包絡線のPM変調波との乗算を行う。次に乗算結果を飽和増幅器で増幅し、バンドパスフィルタで必要な変調波成分を取り出す。 本方式での研究課題は、PWM包絡線をΔ-Σ変調器で発生した場合に発生する量子化雑音による変調波への影響を明らかにし、移動通信システムで許容されるSN比が達成できるように回路構成と信号処理のパラメータを決定することである。このため平成19年度は初年度として以下を進めた。 (1)提案送信機のプログラム上での実現 ・OFDM複素包絡線の生成、位相変調器、Δ-Σ変調器、バンドパスフィルタ(BPF)など、提案した送信機の構成要素をプログラムで実現し、以上の要素を結合して総合動作を確認する。 (2)提案方式での量子化雑音の性質とその影響の基本解析 ・OFDM信号包絡線のスペクトルと、これをΔ-Σ変調した場合の量子化雑音スペクトルの間の関係を把握し、量子化雑音スペクトルの基本的性質を分析・定式化した。 ・オーバーサンプル次数、Δ-Σ変調器の伝達関数と量子化雑音スペクトルの関係を明らかにし、帯域内電力と、帯域外電力を分離して算出した。
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