2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360170
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山尾 泰 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 教授 (10436735)
|
Keywords | 移動体通信 / 省エネルギー / 高周波増幅器 / OFDM / Δ-Σ変調器 |
Research Abstract |
携帯電話に代表される移動通信システムのブロードバンド化が進められているが、このようなブロードバンドシステムでは電話が中心の現在のシステムに比べて、十倍以上の送信電力量を消費することが見込まれる。一方、無線送信装置の電力効率(=送信電力/直流消費電力)の改善は大きな壁に突き当たっている。本研究ではこの限界を打ち破るため、増幅器の最大効率領域(飽和領域)で常時動作させる新たな線形送信方法を提案した。提案法では、まず送信すべき変調波の複素包絡線から振幅成分と位相成分を分離し、振幅成分(包絡線)をデルターシグマ(Δ-Σ)変調器によってパルス幅変調(PWM)信号に変換し、位相成分で変調した定包絡線のPM変調波との乗算を行う。次に乗算結果を飽和増幅器で増幅し、バンドパスフィルタで必要な変調波成分を取り出す。本方式での研究課題は、Δ-Σ変調器で発生する量子化雑音の変調波への影響を明らかにし、移動通信システムで許容される帯域外および対域内でのSN比が達成できるように回路と信号処理のパラメータを決定することである。このため本年度はΔ-Σ変調器で発生する量子化雑音のさらなる低減方法について下記の検討を行った。 ・Δ-Σ変調器で発生した量子化雑音の一部帯域を取り出し、これを打消し信号として利用することで、信号帯域近傍の量子化雑音S/Nを向上する方法として、(A)包絡線減算(ES)方式と(B)振幅制御(AC)方式を提案し、送信スペクトルにおける量子化雑音の解析を行った。この結果、 ・1次のΔ-Σ変調器に対しては,ES方式は効果が大きいことが確認できたが、AC方式では効果に限界がある。 ・零点を有する2次のΔ-Σ変調器に対しては,両者共に1次のΔ-Σ変調器を上回る効果があり、量子化雑音スペクトルを次隣接チャネルまでの帯域で最大20dB低減でき、回路が簡易なAC方式で十分な効果を得ることができた。
|