2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸洗浄・電析・不溶化の複合による重金属汚染土の浄化
Project/Area Number |
19360216
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 信一郎 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (60108678)
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Keywords | 土壌汚染 / 重金属 / 洗浄 / 電析 / 不溶化 |
Research Abstract |
重金属汚染土を酸で洗浄し,洗浄液から電析によって重金属を回収し,洗浄液は再利用,洗浄土は不溶化処理後に埋め戻す,という複合技術の基礎付けのための研究を行った.平成19年度は,汚染土試料として,カドミウム汚染されたスメクタイト質粘性土を用い,要素技術ごとの最適化に関する研究を行った. 酸洗浄については,酸濃度(pH)と共存塩の種類およびについて検討した.カルシウム塩でも塩化物塩の方が硫酸塩より効果的であり,塩濃度と酸濃度は相補的な関係にあった.供試土の場合,塩化カルシウムを0.05mol/Lで共存させるとpH3で70-80%のカドミウムを抽出できた. 電析については,電極の種類および電極間距離などの影響について検討した.陰極にグラファイトを用いたときには印加電圧は5V以上が必要であったが,軟鉄の場合には3Vが最適であった.ただ軟鉄の場合には溶液のpHが上昇するという問題があったが,その原因は特定できていない.処理液の共存塩濃度が塩化カルシウムとして0.01mol/L以上であれば,溶液の抵抗は小さく,電極間距離は処理速度(単位電極面積あたりの電析速度)には影響しなかった.印加電圧が一定の場合,単位面積あたりの電析速度は一時反応式に従うことが明らかになった.これらの結果にもとづき,処理装置の電極の種類や面積,電極間距離から必要処理時間を予測することが可能になった. 不溶化資材としては,純鉄製造で派生する転炉スラグの利用を検討した.単位質量あたりのアルカリ度はカルサイトやマグネシアより小さいので,単純なアルカリ資材としての能力はこれらより劣った.しかし,土に5%以上添加した場合には,カルサイトやマグネシアよりも高い不溶化能力を示した.これは,スラグの主要鉱物の一つであるウスタイトの変質によって生成した非晶質酸化水酸化鉄こよる可能性が高いと推定している.
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