2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸洗浄・電析・不溶化の複合による重金属汚染土の浄化
Project/Area Number |
19360216
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 信一郎 Kyushu University, 農学研究院, 教授 (60108678)
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Keywords | 土壤汚染 / 重金属 / 洗浄 / 電析 / 不溶化 |
Research Abstract |
重金属汚染土を酸で洗浄し,洗浄液から電析によって重金属を回収し,洗浄液は再利用,洗浄土は不溶化処理後に埋め戻す,という複合技術の基礎付けのための研究を行った.平成20年度は,鉛汚染された土壌試料2点を用い,昨年度と同様,要素技術ごとの最適化に関する研究を行った. 昨年度の研究に基づき洗浄液としては0.1mol/L塩酸を利用した.この濃度の塩酸から電析により鉛を回収することが可能であり,電極としては陽極がグラファイト,陰極が鉛の場合が最も効率および操作性がよかった.印加電圧は3Vで十分であった.一定電圧での電析速度は溶液中鉛濃度に関する一次反応としてあらわすことができ,速度定数をもとに,電極面積や電解槽容積が異なる場合の電析速度を計算することが可能になった.除去効率を上げるためには同じ洗浄槽内で,攪拌洗浄-電析-電極抜去-再攪拌洗浄-電析というサイクルを繰り返すことが効果的であることもわかった.この方法を,土壌含有量2819mg/kgの汚染土に適用したところ,含有量を129mg/kgまで低下させることができた. 処理土の不溶化処理には,転炉スラグを用いた.洗浄土にスラグを混合することにより,スラグ中の遊離石灰により残留する塩酸が中和された.添加後のpHが8程度になるように添加量を調節することにより溶出基準を満たすまで不溶化することができた.不溶化物の長期安定性については研究期間中の評価は不可能であるため.スラグの加速風化物を用いた重金属類の吸着試験を行った.その結果,スラグの風化物は200g/kg以上の鉛吸着能を持つことがわかった. 添加するスラグの粒度や混合法によっては溶出基準以下までの不溶化ができない場合があり,さらに研究が必要な点もあったが,酸洗浄と洗浄土の転炉スラグを用いた不溶化という技術は,少なくとも高レベルの鉛汚染土の浄化技術としては有望であると考えられた.
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