2009 Fiscal Year Annual Research Report
水源汚染リスク評価のための微生物氷文学的手法の開発
Project/Area Number |
19360221
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
坂本 康 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80126648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 継 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (70293438)
森 一博 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (90294040)
田中 靖浩 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50377587)
原本 英司 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (00401141)
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Keywords | 水源汚染リスク / 微生物水文学 / 大腸菌 / 環境分析 / 土木環境システム |
Research Abstract |
本課題では、「水移動に伴う病原微生物移動を評価できるアセスメント手法」の確立のために、水文学に微生物学を包含した新手法の開発を目的とした。平成21年度は、(1)微生物流出の解析、(2)有害微生物検出・定量法の検討、(3)微生物汚染リスクの海外調査を行った。(1)では、昨年までに開発した大腸菌河道内輸送モデルの計算精度検証のため、洪水期間中の河川水を連続採水し、浮遊粒子吸着型と非吸着型の大腸菌を分別定量した。その結果、大腸菌の吸着率は、既往研究とは異なり極めて非定常的であり、拡散モデルを構築する上で不可欠な因子であることを示した。(2)では、下水処理場と河川から単離したF特異RNA大腸菌ファージの遺伝子群を解析した。その結果、これらの水試料は主にヒト由来の糞便汚染を受けているが、動物由来の糞便汚染の影響もある程度受けており、人獣共通感染型の病原微生物をより詳細に調査する必要があることを示した。(2)と(3)を合わせた検討として、カトマンズ盆地の井戸水について、昨年度までに開発した培養によらない新しい微生物定量方法と培養法との比較を行なった。その結果、ほとんどの試料で非培養法の方が高い定量値を示すが、逆の場合も一部あり、安全性の面からは両法の併用が望ましことが分かった。さらに、新汚染指標の探求として井戸水の微生物群集の解析を行なった。その結果、日和見感染の原因微生物群を見出し、実際の環境試料の約95%でこの微生物を特異的に検出できる方法を開発した。(3)ではさらに、カトマンズ盆地の地下水の大腸菌濃度、一般化学成分濃度および水安定同位体比の過去3年分のデータを解析した。その結果、地下水の大腸菌は時空間的に不均質に分布し、汚染された近傍河川からの恒常的な影響よりも、下水等の混合による局所的または突発的な汚染の可能性が高いことを示した。
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Research Products
(6 results)