2008 Fiscal Year Annual Research Report
世界の経済活動及び国際貿易による物質流動メカニズムの同定とモデル化に関する研究
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19360240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 譲 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (90109033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河瀬 玲奈 京都大学, 工学研究科, 助教 (90378852)
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Keywords | 貿易勘定表 / Cross-Entropy法 / 物量単位 / 貨幣単位 / 貨幣・物質調整計算 / 社会会計表 / 物質フロー勘定表 / 物質密度 |
Research Abstract |
前年度に準備したデータ・情報と開発した数理手法を組み合わせ、過去30年にわたる人為起源の物質フロー勘定表・および貨幣フロー勘定表を一対のものとして構築した。 具体的には、2001年の基準年の貨幣・物質勘定表の推計に用いた調整計算の手法を過去30年間に適用させるにあたり、経済、貿易、産業、農業、エネルギーなど広範囲の統計情報を相補的に用い、それらの各種情報と整合的な社会会計表、物質フロー勘定を作成する手法を改良した。これにより、従来の手法による推計より高い信頼性を有する勘定表の推計が可能となり、貨幣・物質勘定表の整合性を高めた。 次に、この手法を用いて、各国・地域間の財の輸出入フローを記述する貨幣単位での貿易勘定表、各地域内の経済活動を貨幣単位で記述する社会会計表、および、これらに対応する物質フロー勘定表を推計した。対象物質は、鉄、窒素、りん及び炭素換算での有機物、対象期間は1971年から2001年まで、地域区分は106地域を基本とし、物質により統合を行った。部門数も物質により23部門から70部門程度にて表現した。 推計結果から次のことが示された。有機物フローについては、統計報告値と推計値は概ね同じ値となった。ただし、地域別で見た場合、統計報告値から推計値への修正量が大きな地域が見られるが、それらの地域は世界全体の物質フロー量と比べると物質フロー量の小さな地域であった。世界全体では対象期間の30年間において、物質フローの投入量は増加し、炭素、窒素、リン、鉄はその投入量が1.5-1.8倍となった。対象期間の30年間においてGDPは2.5倍、人口は1.6倍となったため、人口と物質フローの増加率は同程度であったが、GDPと比べるとその増加率は低かった。
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