2010 Fiscal Year Annual Research Report
世界の経済活動及び国際貿易による物質流動メカニズムの同定とモデル化に関する研究
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19360240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 譲 京都大学, 工学研究科, 教授 (90109033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河瀬 玲奈 京都大学, 工学研究科, 助教 (90378852)
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Keywords | 脱温暖化社会 / 物質フロー / 物質需要 / 世界貿易マトリクス / クロスエントロピー |
Research Abstract |
2050年までを対象期間とし、1)人口及び輸出入に関するマクロ経済パラメータ、2)技術変化による投入・産出係数及び物質原単位、3)消費性向や投資性向に各種パラメータ、4)リサイクル技術・活動、などの変化を外生的に設定することにより、将来の物質フロー勘定表、物質ストック勘定表の推計を行った。 特に、鉄鋼、セメントを対象物質とし、これらの物質を主要な構成要素として含蓄している財需要の構造について、人口・世帯数、GDP、投資額、輸出入額などの社会経済指標、および住宅戸数や自動車保有台数など財ストック量の変化と、財需要量の変化のメカニズムを記述した。地域区分は、世界35地域とし、このうちアジアは15地域とした。財区分は、建築、土木、機械類、輸送機器類、その他の区分にて行った。 将来推計においては、次の点をシナリオとして考慮した。 (1)生産資本や社会インフラの整備が物質フロー量に与える効果、特に、工業先進国における物質ストックの飽和の効果、あるいは、開発途上国の経済発展に伴う物質需要量の爆発的増大とその後の物的成熟の効果、(2)人々の消費選好の変化に起因する最終消費財の脱物質化の効果、(3)プロセス・イノベーションあるいはプロダクト・イノベーションなどによる物量単位での投入・産出係数変化の効果、などであり、これらの効果について、地域別の物質フロー勘定表、物質ストック勘定表あるいは物質循環に関する各種指標の変化・改善量として評価した。その結果、2050年において、セメントは一人当たりストック量は7.7トン、これに伴う世界のセメント需要量は2005年よりほぼ横ばいの23.5億トンとなった。鉄鋼は、2024年に20億トンを超えピークを迎えた後に減少し、17.1億トンとなった。
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